波の数だけ抱きしめて

 タイトルには「海の波」と「周波数」がかけてある。


 http://www.hoichoi.jp/works.html#

 91年に公開されたホイチョイ・プロ3作目。番組冒頭の現在がモノクロで、メイン・ストーリーの1982年の部分がカラーという「ちょっと嘘っぽい、ノスタルジックな80年代な湘南(=茅ヶ崎)」が舞台で、初めて見る人には、「91年に82年を再現した映画」だということが判らないだろう。その頃の風俗(髪型やサーフィンの流行、ホンダCITYカブリオレやマツダのファミリアなんかも登場)が再現されているのを懐かしいと感じた。ヒロインを演じる中山美穂のJJ的ファッションとメイク、スケボーやサーフィンに熱中する若者、車にフォルクスワーゲン・ビートルを使用し、レコード・プレーヤーなどの小道具にまでこだわって、見事な西海岸文化のディテールを描き出していた。松下由樹が渋谷のタワーレコードで買ってきたシールドされた新品LPを中山美穂が開封し、匂いを嗅いでしまうあたり、マニアしか気づかない妙味である。ベタでバタ臭くもないが、いかにも当時らしい雰囲気がよく転写されている映画だ(ただし、91年辺りの湘南では近代化が進み過ぎて、あまりにも82年当時の撮影には難しいとの事で白羽の矢が刺さったのが、千倉の海岸)。

 しかし、「波の数だけ抱きしめて」は、劇中使用曲の複雑な音楽版権処理が問題だったのか、当時の出演者が渋っていたのか、LDでは一度だけ発売されたものの、長らくDVD化されず、ようやく今年になってリリースされた。でも、前2作(「私をスキーに連れてって」、「彼女が水着に着替えたら」)がある意味80年代のバブルを背景にした消費社会における「レジャー」的な空気感があったのに対して、「波の数だけ抱きしめて」に登場するキャラクターたちには、何かもっと普遍的な「熱さ」があったような気がする。その見事に再現された時代感覚の中で、彼らは汗水たらしてアルバイトをし、自分の夢を追い、将来を真剣に見つめていた。変わろうとしつつある自分と社会との葛藤の中で"クリスタルな時代"に生きながら、決して"クリスタル"な生活を送っていない彼らこそ、当時のヤング・アダルトたちの本当の姿である。だが、「ビューティフルドリーマー」のような強烈な作家性は感じられない。青春映画にも関わらず、恋愛以外の葛藤が基本的に存在しないからだろう。

 私にとっての80年代はまさに「青春ど真ん中」の頃なので、この映画に出て来る米西海岸文化の風俗・音楽にドップリと浸かっていたし、私が洋楽を熱心に聴き始めた頃でもある。でも当時リアルタイムで聴いていたのはラストのクライマックスに出ていたTOTOの「Rossana」くらいで、中学生にはAORを聴くには早かった(笑)。映画に登場する「You're Only Lonely」「Rossanna」「Her Town Too」などは今でも現役でしょっちゅう聴いているのでそんなに懐かしくはないのだが、それでもこの映画の中で聴くと懐かしく感じてしまう。この当時(80年代初頭)のAOR、確かに琴線に触れるメロディが多かったような気がする。段々と商業化されていく直前(典型例が郷ひろみのカバー)で、AORがまだいい音楽であった時代だ。だが、ロック・ミュージックの歴史の中では凡庸で停滞した不作の年扱いされている。CDが出てきたりSONYのウォークマンが普及したりとハードウェア的にはエポックメイキング的な年なのだが。

 そもそも「ミニFM局」が舞台なのが非常に地味な設定である。「ミニFM局」というのは、法律等で定められたような、正式な名称ではなく、電波法に定められた「微弱電波」を使用した無線局のことである。極々微弱な電波を使用するため、免許不要で法律上の「放送局」にすら当たらない。そのため、ある程度電波法や無線の知識がないと、国道134号線沿いに中継局を連ねて放送出力を上げることなく受信エリアを広げていくことの凄さが分かりにくいことは否めない。昔は数百mも電波を飛ばせたのだが、電波法が1996年に改正されて微弱電波の規定が厳しくなったため。100mの距離において15mV/mで50m~100m程度の到達距離であったのだが、現在の3m法だと前述の100m法と計算上はほとんど同じであるが、実質的に数十m程度の到達距離しか稼げない。当時は最近のように首都圏に正規FM局やコミュニティFM局も多くなく(首都圏で2つ目の民間FM局である「FM横浜」が出来たのは85年)、しかも既存放送局は放送する曲を1ヶ月前に決めてリストをFM雑誌に流すという方法をとっていたため、その日ごとに選曲するなんて局は一つもなかった。いわゆるミニFM局がアチコチに作られていた。

 これは元設定自体が実話で、某一般企業が湘南の海岸線を走る車にミニFM放送を聞いて貰いたいと言う事で企画された物。この時の送信機及びサテライト局は、私の師匠が設計した。200m置きに民家の屋根にサテライト局を設置し3周波数の電波を使って繋いでいった。最終的には関東電波監理局(現在の総合通信局)から何か横やりが入ったようで数ヶ月で放送を辞めてしまったらしい。しかしながら、時代の変化といってしまえばそれまでだが、インターネット他のメディアが力をつけたことによってラジオリスナーが相対的に減少し、局数も減ったし、以前ほどのパワーはない。実は小生、田中真理子(中山美穂)がDJをやっているミニFM局と同じような(=実はロケ地が湘南ではなくて、多くは九十九里で撮影していたのだが)、伊豆のミニFM局でこの映画にでてくる阪田マサノブ演じる芹沢みたいな事(=ミニFM局の技術担当)を実際に経験したことがある。同じように秋葉原のパーツ・ショップやツクモ電機でパーツを調達し、真夏の炎天下に電界強度を100m地点で測定しながらだったが、やっている時はものすごく楽しくて、「自分の居場所はここなんだ!」という感じだった。
 
 http://radio-critique.cocolog-nifty.com/blog/2010/07/1991dvdblu-ray-.html
 http://blog.goo.ne.jp/nadegata1965/e/41be39960f8031cc9e39c50fd2a51d1a

 ・・・ところで「田中真理子」って関係者なんだろうか?





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