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zoom RSS 船の科学館は廃館にすべき

<<   作成日時 : 2011/08/17 06:17   >>

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 既にかなり危うい状態だが。


 先日「船の科学館」に行った。隔月で来てはいるのだが、業務打ち合わせが多かったので、完全プライベートでは5年ぶりになる。船の科学館が今年の9月いっぱいで休止するとのこと。閉館ではなく休止扱いなのは海上保安庁の東京港内交通管制室があり(これも賃料を支払っている)、貴重な学術資料や技術資料があるためで簡単に閉鎖できないし、専門博物館にしては多すぎる財団職員も喰わせないといけないので「収蔵保管・研究施設」としてとりあえす延命させている。だから一応リニューアル準備となっているのだが、本当にリニューアルするためにはかなり難しい状況だ(建物そのものが、古くてバリアフリー対応に全く対応できていない上に、往時の耐震基準で作られているので老朽化した空調、給排水施設の修理に柱を壊したりする必要があるし、現行の耐震基準に合わせて改修する必要もある)。しかもこの運営する「日本海事科学振興財団」は出来たときに親財団の笹川良一会長の意向で所管官庁(当時は運輸省、現国土交通省)の干渉や天下りをあまり受けない独立的な傾向が強かった。役所と正面切って喧嘩できた代わりにこういう場面で支援が受けにくくなる。

 天気のいい夏の日の昼間なのに、客足がほとんど無い。よく見ると外にあったセルフサービスのレストランだった「ベイサイドテラス キャビン」が閉鎖していた。すでに財産登録から外されているので再使用は不可だし、さらに、建物4Fにある「海王」は、一昨年6月に同じく閉じる予定だったのを、何とか営業継続することになったが、個人客はお昼のバイキングのみしか使えない。夕刻以降は50名以上の団体客か、懇親会での貸し切りになっている。外にあった二式大艇ははよりよい保存環境を求めてすでに海自さん家の鹿屋航空基地に移送し、不審船も横浜の海保防災基地にあるし、1981年(昭和56年)8月8日に劇場公開された、東宝映画「連合艦隊」で使用されていた1/20戦艦大和は2004年の台風並みの暴風雨でひっくり返って大破したため、現在は廃棄されてしまった。屋外プールは使用料も安くないし、大した遊具施設もなかったので、近隣住民でもない限り、わざわざゆりかもめや高速道路を使ってあのプールに入る連中はそもそもそんなに多くない。1974年にオープンしたこの施設、37年が経ち、老朽化が激しい。今後は従来の海洋総合博物館の役割に加え、海洋教育拠点の機能を担うというが、海洋教育の定義すら決まっていないというのに誰にいったい何を教えるというのか。

 羊蹄丸も併せて売却するとのこと。昭和63年に青函連絡船航路の廃止後、平成4年にイタリアのジェノバで開催された「国際船と海の博覧会」の日本パビリオンとして使用後に「船の科学館 別館」として保存使用されている。内部は、日本パビリオンとして使用するために大幅に改装してしまったため、連絡船当時の面影は少なく、新たに改修され喫茶コーナーのほか、船上結婚式を行う宴会場や昭和30年代の青森駅青函連絡線改札口を模したブース、子供向け遊技場などがある。明らかにお台場のB級スポットだったのだが、近隣にパレットタウンやお台場大江戸温泉、科学未来館など別の施設が出来た今ではほとんど無価値に近い。しかも船内の整備や塗装などにかかる維持費が最低でも年間3000万円ちかくかかり、さらに八甲田丸が青森市に、摩周丸が函館市に保管されており、ともに博物館船として海上に浮かんでいるので、わざわざ羊蹄丸を保存する意味がない。なぜ保存対象を宇高連絡船にしなかったのか。海上保存のためには自治体の許可も必要であり、引き取り手が現れるとは今の経済状態を割り引いても考えられない。おそらく解体されるだろう。設置まで長いことかかった割には実にあっけなかったというべきか。

 立地は海01の海上公園行が357号線を爆走していた開館当時はともかく、今にしてみれば悪くないと思うが、展示内容がいかんせんマニアックで、造船産業が華やかなりし頃の内容と思われる、よく言えばレトロな、悪く言えば時代遅れという印象で、資料的価値はあっても、船・潜水艦・エンジン・タービンなどの乗り物に関する大型の機械模型なんか海事分野に相当な興味がある人でないととても退屈なものだ。ICTへの進出も遅れていて、家族連れをターゲットに子供向けのアトラクションを増やすなど、元々あまり興味のない人が集まりやすい博物館になっていない。改装するべき時期を遅らせすぎたのが今の実情だ。何ともチープな作りの展示の中で、100円で数分間操縦できるラジコンの船が一番人気というあたりに博物館と入館者の考えの相違が見て取れる。もう少し工夫すれば笹川財団のイメージアップにもなると思うが、実にもったいない。それと建て替えるのであれば船の博物館入り口の向かいにある「孝子の像」など笹川良一の個人崇拝というか、個人宣伝に類する代物は博物館の展示として不適当なので根こそぎ排除して欲しい。

 …「船の科学館」を閉館させても、海洋国家の名は泣かない。


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コメント(9件)

内 容 ニックネーム/日時
財団職員は3分の2以上が解雇ですし、元々工作船は仮置き場として使われてました。
枯れ草
2011/09/23 10:34
 枯れ草氏

 ここと航海訓練所はもっと早くに解散させるべきでした。残念ながら引き際を間違えたというべきなのでしょう。
Flagship
2011/09/23 20:08
「べき」ばっかりだな。
自分で行動しようとしない人の考え方だ。
武蔵大和
2011/09/29 06:49
>「べき」ばっかりだな。
>自分で行動しようとしない人の考え方だ。

 あいにく工作教室や造船所見学会で一緒に仕事しているのでお前さんの発言はあたらない。お前こそ何か行動したのかクソ馬鹿。
Flagship
2011/09/29 07:07
はじめまして。今更ながら羊蹄丸解体の噂を聞いて慌てて検索して来ました。
大変興味深く拝読しました。船の科学館は、自分は夏冬の某同人巨大イベントの際にゆりかもめから横っちょを見ていただけで中身並びに内情までは全く知らず、しかも最後に見たのが2006年末なので、一時的とはいえ閉館を知ったのも検索した時点という次第。最後まで拝読するまでは、もったいないな、早く再開したらいいのにな(羊蹄丸がいなくなったのは寂しいけど、それも多分に大震災の影響もあったんだろうし、生き残るには断腸の思いだったんだろう)、と思ってました。
…なるほど、再開を願うには、ちょっと微妙な背景が絡んでたのですね。
ある意味、天下りをあまり受け入れず正面切って喧嘩できる体質をつくっていたのは、今のご時世になって先見の明みたいなものを感じるのは、どこか皮肉なような…。それでも、何かと延命させねばならない理由もしっかり存在する、と…。

結局、羊蹄丸は瀬戸内海は愛媛県新居浜市の団体が引き取り、展示ののち資料収集目的で解体されることになったとか。
折角ジェノバまで文字通り洋行してきた船の、内定した結末を思うと、残念な気がしますが、しかし自分自身も全く行動は起こせないし、機会を見つけてお別れとお礼を言い
に行きたいと思います。そして、青森函館にそれぞれ残った八甲田丸と摩周丸を、末永く後世に残すための何らかの行動に参加したいですね。
長々と失礼しました。
Air #07
2011/12/07 08:16
ごめんなさい、ついでに関係ない事をおうかがいしたいのですが、その笹川財団つながりで、自分は納沙布岬の展望台に行った事があります。最上階の島々が見える展望台以外は、…な内容でしたが、ハッキリ言って。しかも真冬だったので、見学客が自分しか居らず、正直怖かった印象が強かったです。

で、そのトドメをさしてくれたのが、お土産コーナーでした。
案の定、笹川グッズ多数。
笹川良一氏の著書やなんか書やビデオソフトとかはまぁ、お約束としましょう。しかし、こんな強烈なグッズもございました。
笹川良一氏の顔写真入りネクタイピン。
背景が体温によって色が変わる材質のモノですが、…体温によっては、背景が赤にも、黒にもなるんですけど…。これって…。
もちろん、一個連れに買って帰りました(値段失念したけど結構高かったですね…)。で、また包装のテープが黄色く硬化してるところが凄まじかった(これは、本当は、開けてはいけなかったのか…?)。その後、自分が退出した展望台はまた見学客不在となり、スタッフが再び暇そうにしていた事でしょう。

すみません、長ったらしい前振りになりましたが、船の科学館にも、このようなグッズはあったのでしょうか?
全くもってしょうもない追記で大変失礼いたしました。
Air #07
2011/12/07 08:36
Air #07氏

ご訪問ありがとうございます。

@羊蹄丸

 なぜ宇高連絡船にしなかったのか?とつくづく思います。ジェノバ海洋博のパビリオン船に改造したのが彼女の寿命を縮めたのですから。宇高連絡船ならまだ引き取り手もあったかもしれません。

@正面切って喧嘩できる体質

 体質は評価されるべきですが、「代償に体力が低下した」のでは意味がありません。とりあえずリニューアルに成功した横浜みなと博物館(旧:マリタイムミュージアム)のように近傍にNYK博物館やMHIの技術館などがあってもJ○Bと組んでやっている家はあるのですから。

@笹川グッズ

 どうだったかなぁ、駐車場の脇にショップがあり、「普通ならこんなもの置かないだろ」という品物ばかりだったのは良く覚えていますので、あったかもしれません。
 
Flagship
2011/12/08 06:48
10年くらい前に訪れたことがあります。
展示内容は興味深いと思ったものの、時間の都合でじっくりみて回ることはできませんでした。またいつか、と思ううちに休館になってしまいました。
残念だなぁ、またいつか再開するといいなぁと素朴に思っていました。
寂しくはあるのですが、難しい問題もいろいろとあるのですね。内実を知っている方からすると、、、。

ところで、この間、宗谷を見に行ったときのことですが、来訪者が使用するトイレのために、本館のエントランスまでは今でも入れます。このエントランスの作りがすごいのです。天井以外は床も壁も全部色とりどりの大理石。世界各地から集めたのでしょう。他の部分はどうだったのだろう、見てみたいものだと思いました。
Air #07様のおっしゃるところは、一理も二理もありますが、なんとか廃館以外の方途がないものなのかなぁと思いを巡らしてしまいました。
dakusui
2013/05/02 13:01
失礼しました。ブログの主はFlagship様ですね。名前を間違えてしまいました。お詫びします。
dakusui
2013/05/02 13:02

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