海を往く者

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<<   作成日時 : 2011/05/06 00:00   >>

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 急進的過ぎると命を縮める。


 文部科学省では、3年前のの庁舎移転の際に、登録有形文化財となっている旧文部省庁舎を活用して、5つの展示室とラウンジからなる 「情報ひろば」を設置している。そこではサイエンスカフェとかいろいろな催事を開催しているのだが、旧大臣室にも入ることが出来る。そこで初代文部大臣森有礼が職員の心構えを記した「自警」(明治19年1月)のレプリカが飾られているのを見た。

 曰く、「文部省は全国の教育学問に関する行政の大権を有して、其の任する所の責、随て至重なり。然れば省務を掌る者は、須らく専心鋭意、各其の責を尽くして、以て学政官吏たるの任を全ふせざる可からず。而て之を為すには明に学政官吏の何ものたるを弁へ、決して他職官吏の務方を顧み之れに比準を取るが如きこと無く、一向に省務の整理上進を謀り、若し其の進みたるも苟も之れに安んぜず、愈謀り愈進め。終に以て其の職に死するの精神覚悟せるを要す。」

 (現代語訳)「文部省は、全国の教育学問に関する行政の大権を有しているので、その責任は大変に重いものである。したがって、文部省の職務を担当する者は、すべからく専心鋭意その責任を尽くして、学問を司る行政官吏の任を全うしなければならない。そしてそのためには、学問を司る行政官吏であることをわきまえ、決して他の官吏と比べることはせず、ひたすら文部省の職務に熟達することを計り、ある程度になったからといってもそれに満足しないで、もっと、もっと上に進むよう努力せよ。そうして最後には、その職のために命を投げ打ってもいいと考えるくらいの精神を覚悟することが必要である。」

 「自警」とは、自ら自分を戒めることである。明治以降の日本の教育は、この覚悟とこの精神により進められていた。ちなみに森有礼本人は明治22年の大日本帝国憲法発布の当日に、大臣室で国粋主義者に襲撃されて殉職している。彼が示した言葉どおり、「終に以て其の職に死す」こととなった。旧文部省はこれ程に高い理想と理念のもとにスタートしたものなのにどうして今のようになってしまったのか。ところで文科省の科研費は申請した研究代表者が何らかの理由で死亡すると、有無を言わさずそこで打ち切られてしまう。先日の玉木教授のように急逝してしまうと、常勤雇用の共同研究者はまだしも、研究費で雇用されている若手任期付研究者たちの生活は多くの場合、ある日突然路頭に迷ってしまう。

 研究とは古の発明家のように一人でするものではなく、会社同様にグループで成り立っている。それを有無を言わさずに切り捨ててしまうのは信じられない。たまたま配属された施設で、ライフワークとなる研究に出会う人もいる。どれだけ研究成果があっても、論文が学会で認められても、「はい、任期満了」でポイ捨て。いったいどういう国なんだか。新しい道を切り拓くためには、若者に責任ある仕事を与えて、その責任は老人がとるべきだろう。「成果は下へ、責任は上へ」。ところがそれを「若者は挑戦せよ!」などと大声を出しながら、上手くいかないと責任を若者に押しつけて逃げる有様。これでは誰もリスクを取って挑戦しようなどとは思わない。


 ・・・無能な味方は有能な敵よりも迷惑。

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