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zoom RSS あたご無罪判決と控訴

<<   作成日時 : 2011/05/26 00:25   >>

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 そんなアホな。


 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110520-00000013-mai-soci

 「あたご」漁船衝突事故における刑事裁判において一番納得がいかない点は、自衛隊及び防衛省という組織が、当直士官二人の勝手なミスとして責任を押し付けた点だ。何しろ「相手船を避航できた/できなかった」が論点ではなく、「航海上のルールをきちんと守った/守って無かった」が論点だからだ。海上における動力船同士の衝突海難に関し、どちらか一方が正しく、まったく責任はないということはあり得ない話だ。過失責任割合の大小の差こそあれ、必ず双方に何らかの責任がある。しかも裁判の口頭弁論中に驚嘆すべき発言がなされている。両被告に加えて、“あたご”のF元艦長までもが口をそろえ、事故前及び事故時の見張員だった2名の証言について、「経験不足で両名の証言は信用できない」旨の発言をしている。一般商船における船橋当直とは、乗組員の命と積荷及び本船を守るための必要不可欠の業務であり、特に見張りに関しては、他船の状況を迅速に上司に報告するなど、責任を持って遂行できる能力をすでに本人が有し、かつ、その能力が船主によって証明(実地試験等)できなければ、船橋当直には立てない仕組みとなっている。

 だから士官はもちろんのこと、その指揮の元に船橋当直に立つ部員に関しても、STCW(1978年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約)条約によって船員の資格要件を定めている。これは世界共通の最低基準であり、北朝鮮船もモンゴル籍船もこのルールを遵守している。これを「そもそも見張員は経験不足で信用できない」などと当直責任者や船長が述べたとしたら、その会社は、条約に違反し、世界最低の見張り要件すら達していない状況で船を運航していたことを意味する。このような会社にはどんな荷主も運送依頼を出さないだろう。それなのに、上司たる艦長や当直士官は、見張員たる部下たちを、そもそも信用していなかったと言うのだから、本心だとすれば海技者としては失格だ。さらに2名の見張員のうちの一人は、裁判官の質問に対して、「(目標物の)動きに変化があったら(上司に)報告していただろう。しかし、(目標物の)動きに変化がないときには、多分(上司に)報告しないだろう」などと、述べている。「目標物の動きに変化があるとき」というのは、すなわち、衝突の恐れがない時であり、「目標物の動きに変化がないとき」というのは、すなわち、衝突の恐れがある時である。これでは上司に対する報告が嘘とは言わないまでも意図的に選別され、都合の良い内容だけ報告されることになる。

 外航船は、夜間は日本の港に入港できないので、事故が起きた時間の当該海域は、夜間に時間調整し、日の出を待って東京湾に入ろうとする外航船が四方八方から押し寄せて大混雑している。当然ながら陸に近いところなので漁船もたくさん走ってる。そんな状況でのんびりと自動操舵で走っていた護衛艦の航海士が無罪というのは確かに引っ掛かる。もちろん、海上衝突予防法なんて全く順守しようとしない漁船の無法無秩序ぶりをさんざん目にしてきたから、護衛艦が一方的に悪いとは思わないが。裁判の結果に関係なく、海上自衛隊の航海士はもう少し状況判断力を磨いて頂きたい。一般商船に比べればはるかに運動性能が優れる護衛艦を操っているのだから、どんな状況であれ漁船にぶつかるなんて海技者として恥の上塗りでしかない。仮に漁船とあたごとの見合い関係が、検察側の主張通りだったとしても、普通の航海士ならすんなり避けられる。そうでなければ毎日毎時間衝突事故が頻発していなければならないことになる。もっと狭い瀬戸内海にある呉の護衛艦は日常茶飯事に漁船と衝突しているのだろうか?軍艦における見張りは、民間船が目的とする航行安全に加え、戦闘に備えた索敵も目的としており、民間向けの国際条約に沿った要件など、自衛艦にとっては「緩過ぎるのだ」と思っていたら、実は一般商船以下だったことになる。

 大規模な交通機関の事故に対しては、いい加減に日本も欧米型の刑事司法免責宣言の制度化検討をしたほうがいい。下らない犯人捜しよりも事故再発防止や安全対策の確立が優先されるべきだ。刑事罰を問責せず、真相事故原因究明によって、隠蔽の防止にもなるし、一石二鳥だ。刑事罰を与えることよりも安全対策の確立と、被害に対する補償を優先原則にする流れこそ、多少なりともマシではと思う。もういい加減「日本には欧米型の考え方は馴染まない」で片付けて欲しくない。横浜地方海難審判所は09年1月の裁決で、あたご側に事故の主因を認め、自衛隊組織が初めて勧告を受けた。この海難審判の裁決に対して、陸の刑事裁判では自動航行していたイージス艦に責任はあるがボーっとしていた当直士官2人には責任が問えないという裁判官の判断だった。これではいくら控訴しても海に関して素人の検察や裁判官では同じ結果が出るだけだと思う。

 ・・・上司も上司ならば、部下も部下だな。


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