海を往く者

アクセスカウンタ

zoom RSS 成長戦略で雇用は生まれない

<<   作成日時 : 2010/12/26 08:06   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 まず海洋村の老害を駆逐すべき。


 民主党政権は一昨年末に「新成長戦略」をやっとのことで発表した。野党やマスコミにさんざん「遅い」となじられ、ようやく出来上がった代物は自民党時代の焼き直しという政府への攻撃材料としては十分な代物だったが、そもそも成長戦略などが、もはや本当に必要なのだろうか?そして、政府が経済成長を実現することなど可能なのだろうか?さらにもう一つ、成長戦略が重要だと言っている人たち(野党も含めて)が、民主党のバラマキ政策を「社会主義的だ」などと非難しているが、これもおかしくはないだろうか?私は、もはや日本は成長経済を目指すべきではないと考えている。経済成長というのは、そもそも民間企業の営利活動によってのみ、もたらされる。民間企業の社員が国民の大多数を占めている以上、国家の経済成長よりも、個人の生活の質を上げなければ消費行動が生まれないからだ。

 選挙で選ばれた政治家や、試験で選ばれた官僚たちに、新しい産業の振興や、それを実行するための経営手腕を期待する方がどうかしている。山下太郎の立てたアラビア石油を食い物にして壊滅状態に追い込んだのは一体誰なのか。実際問題として、政府がサプライ・サイドに対して出来ることといえば、規制緩和や企業に対する減税、産学連携に対する公的資金による補助などの、成長のための条件整備であって、間違っても特定業界に対する「スパコン開発支援」などではない。そして、その条件整備の一つとして、企業が競争し独創性を発揮することに集中してもらうために、共通する負担である社会保障に関しては政府が責任をもつ、ということが重要なのだ。もちろん、高度経済成長期の日本においては、「官僚たちの夏」に見られるように通産省(現在の経産省)の官僚たちが企業を統率して殖産興業を進め、奇跡的な経済成長を実現させたのは事実だ。

 資源がない日本にとって、「モノを作って他国で売る」 製造業の根本的な構造は、大きな柱であったと言えよう。 しかし、自らが先進国となり、キャッチアップの時代を終えた現在の日本では、そのようなビジネスモデルは、もはや通用しない。つまり、政府が成長戦略を立てようなんて、土台無理な話なのだ。二国間で同じ生産要素の価格が違う場合、貿易を通じて両国の要素価格は接近し、理論的には均等化する。これを要素価格の均等化と呼んでいる。日中の相対的な賃金格差は、部門にもよるが、単位労働コストで考えて10〜20倍ぐらいあるといわれている。つまり中国の賃金が10倍になると同時に日本の賃金が1/2になって、やっと両者の競争条件が対等になる。この状況下で人件費が高い日本側の名目賃金が下げられないのであれば、以下のいずれかによる事実上の賃下げしか選択肢が無い(これに労組が反発すればさらなる海外流出が起きるだけ)。

 1. 中国からの輸入の増加
 2. 生産拠点の海外移転
 3. 正社員の非正規社員による代替
 4. 高付加価値の産業に重心を移す

 1は、要素価格の均等化だが、賃金が均等になるまで国内の労働移動が起こることは考えられない。2は、すでに自動車や電機で起こっていることで国内産業との生産性の格差が広がるだけでしかない。3は世間で「格差拡大」などと騒がれている現象だが、企業の国際競争への対応としてはごく当然の対応だ。いくら国内の最低賃金を規制しても、外地では3分の1ぐらいの年収で現地在住の日本人を雇える。欧州型のように4の高付加価値産業に移行するためには、むしろ人員削減が必要になる。環境やIT、バイオなどの高効率産業に余分な人員の雇用吸収力はないし(生産コストの大幅削減が主目的)、そもそも日本企業の得意分野でもない。製造業従事者の業種転換訓練コストを企業が負担するわけも無い。しかもこのタイプの産業は経済情勢などにより、歯車が逆回転すると一気に売れなくなるという高リスクを抱えている(=しかも日本は市場の構造変換に乗り遅れることが多い)。

 だから雇用を維持するためには、ハイテク産業よりも環境や福祉、医療などの中国と競合しない部門に労働力を移し、何らかの形で賃金を徐々に切り下げていくしかない。こういう厄介な問題を正面切って議論しないで、場当たり的な雇用規制の強化を続けていると、産業空洞化が進んで雇用がかえって失われる。政府の役割として、格差を縮める(つまり所得の再配分をする)ことと、経済全体を成長させることでは、どちらが重要かといえば、現在の日本のおかれた状況においては、実は民主党政権のようにバラマキを行って所得の再配分を促すことの方が、政府の役割としてはずっと簡単であり、適切な行為なのである(民主党の悪い部分は場当たり的に対処してしまい、その核心部分を話さないこと)。逆に、産業振興を政府の役割だと考えている人の方が、よほど、政府の役割と能力を過大評価していて、社会主義的だといえるだろう。これでは日本の未来はお先真っ暗だ。

 …「成長戦略」を唱える愚かな学者や馬鹿な政治家は社会主義者として処刑すべし。




改訂 サービス産業の発想と戦略 モノからサービス経済へ
ランダムハウス講談社
野村 清

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 改訂 サービス産業の発想と戦略 モノからサービス経済へ の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル




改訂 サービス産業の発想と戦略 モノからサービス経済へ
ランダムハウス講談社
野村 清

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 改訂 サービス産業の発想と戦略 モノからサービス経済へ の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
成長戦略で雇用は生まれない 海を往く者/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる